第3回は、未踏スーパークリエーターの大嶋泰介さんとの対談です。
「認知戦」と呼ばれる新たな争いについての議論。 トランプが実際に行ったAIを使った選挙キャンペーン。 シンギュラリティ化したAIと人類の新たな関係の構築についても語っています。
これからのAIとの付き合い方や、宇宙を認知することで鬱症状の改善になるのではないかという仮説など盛りだくさんの内容です。
佐藤航陽の宇宙会議【第3回メモ】
認知とは何か?
認知とは、五感を通じて得た情報を脳が処理し、世界を理解するプロセス。
私たちの行動や判断は、目に見える情報だけでなく、無意識下での認知にも強く影響されています。
大衆を武器化する「認知戦」
認知戦は、情報を操作することで相手の意識や判断を誘導する新しい戦争形態。
対象は軍人ではなく一般市民であり、大衆が「無自覚に武器化」されてしまうリスクをはらんでいます。
海外における認知戦の現状
NATOでは「Cognitive Warfare(認知戦)」が正式な戦略領域として扱われており、中国やロシアでもサイバー空間を利用した情報操作が活発化しています。
選挙や世論形成にも影響を与える事例が多く見られます。
策略家トランプとケンブリッジ・アナリティカ
トランプ大統領が用いた手法の一つがAIを駆使した「感情に訴える情報設計」。
ケンブリッジ・アナリティカ事件では、SNS上のビッグデータを解析して個人の思考傾向に基づく情報が流され、大規模な心理操作が行われたことが明らかになりました。
思考は操作されている可能性
人々の考えや意見は「自分で選んでいる」と思いがちですが、実際にはアルゴリズムやAIによる誘導の影響を大きく受けています。
これが無意識レベルで起こることに、認知戦の脅威があります。
無意識の領域を攻める技術
AIやメディア技術の進化により、私たちが気づかないまま心を動かされる現象が増えています。
人間の本能や感性に訴える設計によって、行動すらも操作される時代が来ています。
本能を刺激するコンテンツの拡大
YouTubeやTikTokなどのプラットフォームでは、ユーザーの反応を最大化するために、
「好き・嫌い」「快・不快」といった感情的判断が強く刺激されるコンテンツが優先的に届けられます。
時空を越えるメッセージ
本質的な言葉や思想は、時間や場所を超えて届く力を持ちます。
逆にいえば、現代は浅い情報が溢れることで、深いメッセージが届きにくい社会になっているともいえます。
大嶋泰介という人物
大嶋泰介さんは、メタマテリアルや人工知能、デジタルネイチャーなど先端領域に精通する未踏スーパクリエーター。
理性と本能、数理と感性といった対立軸を横断する知的活動を行っています。
メタマテリアルとは?
メタマテリアルは、自然界には存在しない構造を人工的に設計することで、光や音を自在に操れる新素材。
未来の通信技術や軍事技術にも応用が期待されています。
デジタルネイチャーとは?
自然とデジタル技術が融合する新しい世界観。
人間中心のテクノロジーではなく、環境や物質との関係性を重視するアプローチとして注目されています。
大嶋氏の事業とAIの進化
AIの分析力は年々向上し、個人の嗜好や心理傾向を瞬時に把握可能になってきています。
大嶋氏はこうした技術を活かし、非言語の感性を可視化・数値化する研究にも取り組んでいます。
知能と感性の関係性
論理的な知能だけでなく、情緒・感情・美的センスといった要素も人間の知能の一部と考える視点が増えています。
感性を数理で表現する試みも進んでいます。
理性と本能の境界線
現代人は理性で思考しているつもりでも、多くの行動は本能によって支配されています。
テクノロジーはその境界線を突いてくるため、私たちの「自由意志」が問われるようになっています。
宇宙を認知するという恩恵
宇宙規模の視点を持つことで、人間社会の枠を超えた新たな認識が得られます。
これは認知戦への防衛手段でもあり、自己のアップデートにも繋がるとされています。
人類皆が「当事者」となる未来
AIと情報が高度に連動する社会では、誰もが「意思決定」に巻き込まれる時代に突入します。
その中で「自分の認知は本当に自分のものか?」という問いが、全人類に突きつけられています。
この先のCognitive(認知)
認知のテクノロジー的理解が進む中で、未来は「認知をデザインする時代」に入ろうとしています。
人間の思考や行動、社会のあり方すらも再設計される時代です。
【まとめ】情報戦の時代に生きる私たちへ
「認知戦」は、もはや一部の専門領域ではなく、私たちの日常そのものに直結するテーマです。
AIやメディアを通じて「見せられている世界」は、どこまでが自分で選んだものか、考える必要があります。
人類が本当の意味で自由な意思を持ち続けるには、認知の仕組みを理解し、テクノロジーに対する倫理的感度を持つことが不可欠です。